起業、会社設立、事業計画書、契約書、社内規程、インターネット、法務、中小企業支援。愛知県、名古屋市、豊田市 井藤行政書士事務所

  事業計画書の詳細

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起業、開業、会社設立準備とビジネスモデル
第12号(2008/12/16
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こんにちは。行政書士の井藤です。 
ビジネスモデルとは、儲かる仕組み(うまく行く為の仕組み)のこと。
ビジネスモデル×実行=利益(成功)とも言います。
ビジネスモデル思考で、起業、開業、新規事業を成功させましょう!!
また、ビジネスモデル思考は、事業に限らず、
様々なプロジェクトや企画、自己実現に応用可能な考え方です。
ビジネスモデル思考で、物事を上手に成功させましょう。

◇第12号のメニューはこちらです
1)事業計画書の詳細
2)編集後記
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(1)事業計画書の詳細


■事業計画書作成の大きな流れ

前回は、ビジネスプラン、事業計画書の意義とビジネスモデルとの関係を述べました。
また、事業計画書作成の大きな流れの例を示しました。

つまり、以下のような手順です。

1)ビジネスのアイデアをビジネスモデル化します
   ↓
2)ビジネスモデルを実現するためのビジネスプランを作成します
   ↓
3)ビジネスプランを文書と数字の整合性を持たせた統一的な事業計画書としてまとめます

今回は、事業計画書の具体的項目、一般的な事業計画書の様式を紹介します。

■一般的な事業計画書で網羅すべき項目

事業計画書の作成目的によっては、以下で説明をする程度まで「本格的な事業計画書」は必要でないかも知れません。

しかし、例え簡易的な表現をとるにしても、事業計画については、本来これらの項目を考慮し、網羅することが必要であることを理解しておく
ことに意義があります。

また、(10)数値計画については、事業計画の目的によって詳細な計画値が必要な項目が異なることを理解しておきましょう。
例えば、社内計画であれば、各部門ごとの詳細な計画数字まで落とし込まなければ計画の実効性が保証できません。
また、借入申込用の事業計画であれば、借入資金の使途とその返済計画が詳細に記述されている必要があるでしょう。

一般的な事業計画書で、記述すべき事項は以下の11項目です。

(1)?エグゼティブ・サマリー
(2)?企業概要
(3)?経営陣
(4)?経営理念と事業目標
(5)?製品・サービスの内容とビジネスモデル
(6)?ターゲット市場と市場規模、成長性
(7)?社内組織体制・人員計画
(8)?提携、外部協力者、支援者、関係者等
(9)?事業スケジュール
(10)数値計画
(11)要因分析とリスク対策

以下に、各項目での記述内容のポイントを述べます。

(1)?エグゼティブ・サマリー

(1)?エグゼティブ・サマリーとは、事業計画書の要約として、ビジネスプランの要点をまとめたページです。
事業計画書の各項目の中でも、もっとも重要な部分です。
?
1ページで、「本事業がいかにすごいか?」を簡潔明瞭に表現することが重要です。
さらに、エグゼクティブサマリーは、事業計画全体を表現していることが重要です。

すなわち、エグゼクティブサマリーに続く項目((2)企業概要(3)経営陣(4)経営理念と事業目標(5)製品・サービスの内容とビジネスモデル(6)タ
ーゲット市場と市場規模、成長性(7)社内組織体制・人員計画(8)提携、外部協力者、支援者、関係者等(9)事業スケジュール(10)数値計画(11)要
因分析とリスク対策)の重要なポイントを網羅していることが大切です。

事業計画の作成のアプローチの仕方として、「全体を書いてから、最後にエグゼティブ・サマリーでまとめる。のではありません。
まず、計画の魅力的骨格をエグゼクティブサマリーで示し、さらに、エグクティブサマリーに続く項目で細部計画で肉付けし示して行くアプロ
ーチが重要です。

事業計画書の目的によっては、このエグゼクティブサマリーだけを制作すれば、良い場合も多いと思います。
あるいは、エグゼクティブサマリー+特に詳細説明が必要な項目のみを詳細に制作する。等。いろんなバリエーションが考えられます。

(2)?企業概要

企業概要会社の基本的情報を簡潔に示します。

会社設立前であれば、どのような会社をいつ設立する予定なのかを記述します。
代表者名、所在地、ホームページ、設立(予定)年月日、資本金、主要株主、従業員数、事業内容、事業開始の経緯 等

(3)?経営陣

経営陣起業に関して、「経営者の資質」は非常に重要な点です。
経営者の略歴、業務経験とスキル、人的ネットワーク等を記載します。
また、経営者が複数人いる場合は、事業における役割分担についても記述します。

(4)?経営理念と事業目標

経営理念と事業目標経営理念、事業の将来像(ビジョン)、経営上の哲学、質的な目標、数的な目標 等。
目標に対しては、数ステップに分け、どのように実現して行くかを現実感を持った計画で示します。


(5)?製品・サービスの内容とビジネスモデル

「どんな製品およびサービス」を「誰に」「どんな方法で提供するか」 を示したものです。

さらにそのビジネスモデルが成立する為には、「お客様に魅力的な価値をもたらし」、「収益を得る」仕組みを確立しなければなりません。
製品・サービスの内容とビジネスモデルは、事業計画書の中核をなすところであります。

まず本項目をまとめ、(5)(≒ビジネスモデル)→(1)(≒ビジネスプラン)→全体 の順でまとめるのが、思考の順と一致した、事業計画書の
作成手順となります。

事業計画書での、ビジネスモデルの説明の仕方として、従来のビジネスモデルと比較し、価格、性能、品質、納期、安全性、環境性、社会性等
・・・ビジネスモデルの何が、優れているのかを示す方法が一般に良く取られております。

(6)?ターゲット市場と市場規模、成長性

ターゲット市場と市場規模、成長性ターゲットとする市場を調査分析し、
自社の特徴(強み、弱み)と合わせ、その成長戦略(優先順位)を示します。

市場の調査については、統計的なデータに基づくマクロ的な分析と、
市場関係者等のヒアリングによるミクロ的な分析の両面からのアプローチが有効です。
例えば、ターゲット市場図を利用する方法があります。
これは、市場を大中小で3分類し、自社の強み強中弱の3分類を組み合わせることで、9つのセグメントに分類します。
これらの市場の中で、どの市場を優先的に開拓して行くか。成長戦略を示します。

(7)?社内組織体制・人員計画

社内組織体制・人員計画事業計画を実行するための社内組織(開発、生産、調達、マーケティング、営業等)をどうするか?
内製するもの外製するもの。
事業計画の推進スケジュールを実現する適正な人員計画や事業所設置計画を立てる必要があります。


(8)?提携、外部協力者、支援者、関係者等

起業準備、開発、生産、調達、販売、流通、アフターサービス等々・・(7)の社内組織体制と合わせて、
ビジネスモデルを成り立たせる為に必要な要素を網羅し書く必要があります。

(9)?事業スケジュール

事業計画を時系列に一覧表形式で記述します。
長期的計画は大枠を中期的(3年程度)には詳細なスケジュールを記載します。

(10)数値計画

数値計画売上計画、投資計画、損益計画、資金計画を3年間〜5年間程度記述します。
また、人数計画も合わせて記述しておけば、人あたりの数的指標を確認するのが容易になります。

売上計画はセグメント(商品群別、サービス別、市場別等)ごとに分け計画します。
売上計画と同時に粗利計画を作成します。
売上計画作成時には、「売上=客単価×客数」?または、「売上=商品単価×売上数」の基本公式から、
客数や商品単価を意識した計画にすることが重要です。

投資計画は、(9)事業スケジュールに整合して作成します。
投資経費は減価償却費として、損益計画に反映させます。
また、投資資金は、資金計画に反映させます。

損益計画は、売上粗利-経費 で計算します。

経費は、人件費、販売費、一般管理費、営業外経費(金利)に分けて計画するのが良いでしょう。
人件費は、人員計画に基づき計算します。
販売費は宣伝活動や営業活動等、事業計画推進の戦略に直結した数字になります。
一般管理費は固定費的要素が大きくなりますので、どの程度の器(組織、 建物、設備等)を用意し、
どのように運転していくかによって数字を計画して行きます。

営業外経費(金利)は、資金計画と整合して作成します。
税引後利益(損失)まで計画に記述します。
株主資本等変動計算も見込み、期末株主資本額も計上します。

資金計画は、資金繰表の形で作成するのが一般的です。
損益計算書をベースに支払い条件に合わせて、資金の増減をシミュレー ションします。


(11)要因分析とリスク対策

ここまで述べて来た事業計画が成功する要因と失敗するリスクを分析します。
できるだけ具体的に、「いつの時点で○○が○○していること。」のように判断基準を明確にします。
内的要因(製品・サービス、技術、価格、組織等)と外的要因(市場、 競合先、法律・制度等)に分けて、分析します。

さらに、要因はどのような基準で把握し、誰が、どのような対策を行うのかをできる限り具体化します。

あらかじめ、リスク発生時に切り替えるシナリオを準備しておき、
○○の場合には、計画××に切り替えるような事業計画の作成の仕方もあります。

「事業計画とは、いかにリスクを取るか?」である。と言われることも あります。

一般に「ローリスク、ハイリターン」をうたうビジネスモデルほど、詐欺紛いのビジネスであることは言うに及ばず、
実は「ハイリスク」である場合が多いものです。

「リスクはないので心配はいらない」とするのではなく、リスクはあるものの前提に立ち、
いかにその「リスクをヘッジするか」を計画すべきです。

(2)編集後記

今回は、事業計画書の一般的項目について全体を網羅的に説明しました。

これだけ全てを述べなければならないと思うと、愕然とされる方もいら っしゃるかも知れません。

しかし、冒頭でも書きましたが、これらの項目は、あくまで、一般的な項目であり、
実用においては、もっと簡素化して良い部分と、もっと具体的に述べなければならない部分が出てくるものです。

ポイントは、いきなり、いかに上手に文書にするかではありません。

「これらの項目が必要なのだ」と言うことを理解した上で、箇条書きで良いので、いかにきちんとプラニング出来ているかに尽きるのです。

その意味では、今回、述べた、事業計画の項目は、
事業をプラニングする際に、考えなければならないチェックポイントとして、捉えることもできます。

中谷彰宏さんは、

「あなたは一度、夢の実現したゴールを見ている。
私たちの人生は、ゴールからの回想なのだ」と述べておられます。

ビジネスプランを明確化することは、ゴールを明確化することであり、スタート→ゴール→プロセス→ゴールの流れを作ることになります。  
また、ビジネスモデル同様、このビジネスプランと言う言葉を、仕事やプライベートの様々なプランに置き換えて、考えてみることもできます。

これからは、「ビジネスモデルの時代」とも言われています。
皆さん、いっしょに、「ビジネスモデル思考」を鍛て行きましょう。

最後になりましたが、皆様の、ビジネス、健康、生活が豊かなものとなりますことを祈っております。

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発行元  行政書士井藤事務所  井藤真生
事務所e-mail    gyosei@fullstage.jp
事務所HP  http://www.itoh.fullstage.biz/
〒471-0063  愛知県豊田市京町3−111−1
※ご意見・ご感想等は gyosei@fullstage.jp  まで、お気軽にお寄せください。

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